昔からプロポリスには抗菌作用があることが知られていました。事実、古くから防腐・傷の手当てなどの民間療法としてプロポリスが利用されていましたし、特東欧諸国では早くから数々の薬理試験を行い、プロポリスの抗菌作用を確かめながら臨床への応用が行われてきました。
現在までに、プロポリスの抗菌作用が明らかになっているのは、白癬菌、トリコモナス菌、ブドウ球菌、大腸菌などで、これらの菌の増殖を抑える効果のあることかわかっています。その他、食品に対しても防腐剤の働きをすることもわかっています。
一般的に、抗生物質といわれる物は、特定の種類の菌には顕著な効果をあらわしますが、それ以外の菌にはあまり聞かないといわれています。これに対してプロポリスは、抗菌作用そのものはそれほど強力ではないものの、どのような菌にも広範囲にほぼ同じレベルで抗菌作用を示すのが特徴であるとする専門家もいます。
抗生物質などなかった時代のキズ薬として 、古代人がプロポリスを使用していたのは、まことに理にかなった先人の知恵であるといえそうです。
これらのことから、プロポリスは天然の抗生物質であるといわれています。プロポリスの抗菌作用は、人工的に合成された抗生物質のような副作用がないというのもそう呼ばれる理由のひとつでしょう。
このほか、プロポリスはいろいろな菌に対して効果があるという研究報告や文献がたくさんあります。そこにある菌名を見ただけでも、傷の化膿、食中毒から婦人科の病気に至るまで、広い範囲で効果が期待できそうです。
院内感染の予防にも効果的
最近よく名前を見聞きすることが多くなったMRSAに対しても、プロポリスが抗菌作用を持つことがわかっています。
MRSAとは、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌の英語名の頭文字をとった略称です。ペニシリンを改良したメシチリンなどをはじめ、多くの抗生物質に対して耐性を獲得してしまった多剤耐性菌のことを指します。この菌に感染すると、抗生物質もなかなか効果が上がらないので恐れられています。
現在の所、病院内での感染に止まっているので、院内感染と一般的に呼ばれています。他の疾病やけがで入院中の患者、これ医の入院患者、手術後で体力の落ちている患者が感染しやすい病原菌です。
抗生物質も寄せ付けないこのやっかいな菌に対して、プロポリスの成分に含まれている「アルテピリンC」が、抗MRSA活性物質として優れた効能があることがわかってきました。アルテピリンCの他にも、プロポリスの主成分であるフラボノイドや安息香酸といった有機酸類に抗菌作用があることがわかっています。安息香酸は、医薬品の製造原料として使われているほか、解熱剤や防腐剤としても利用されています。
さまざまな成分の集合体であるプロポリスですから、今後も新たな抗菌成分が発見される可能性は高いと思われます。
ウイルスに対する効果もあるプロポリス
プロポリスの利用が盛んな東欧諸国の薬理・臨床報告の中には、「プロポリスには抗ウイルス作用がある」と記載した物が数多くあります。日本でも、薬学の専門家や臨床医がプロポリスの抗ウイルス作用について調べています。
プロポリスの抗ウイルス作用は、かぜ以外に、ウイルス性肝炎(A型・B型・C型)、結膜炎のような感染症にも効いたという報告があり、また、欧米の臨床例には、リウマチやパーキンソン病、筋ジストロフィーの患者に有効だったという報告もされています。